7つのタイプの「うつ」にも運動を

「うつ」の分類の中で、対処方針として運動が全部入っていることに気付かれたかと思います。ちょっと強引だったでしょうか(笑)

運動習慣がある方が認知症を発症しにくい、中強度~高強度の有酸素運動が精神疾患の予防や改善に有効という論文は沢山出ています。

私自身、うつ病から回復する途中で、薬の服用だけではどうも回復が頭打ちになっていましたが、ランニングによってより調子は良くなってさらに崩れにくくなりました。

連載の最初の方で、精神疾患の原因として「脳の神経伝達物質の不具合」「脳内のBDNFの減少」という仮説があるという話しをしました。

「うつ」でもやはり同様の状態が脳内では起きていると考えています。

運動することによって脳内のBDNFが多く作られたり、神経伝達物質の働きを調整することを考えると、うまく運動を活用することで「うつ」の予防や回復に役立てていけると思います。

私は一番身近な運動がランニングだったので、走って治すということにたどり着きました。

しかし、「うつ」予防や改善のための運動の中身は何でも良いと思っています。

心拍数をある程度上げるように意識すると良い、と言われていますが家で出来る簡単な筋トレの方が取り組みやすければ、それが一番良いと思います。

特に運動不足の時や「うつ」で気分が落ちている時に頑張って運動をやり過ぎると、余計なストレスになって調子を崩すばかりです。

既に話した通り、運動することによって脳内のBDNFが多く作られたり、神経伝達物質の働きを調整することが出来ます。その一方で、運動はストレスとなって脳の神経細胞を傷つけることもあります。ストレスになりすぎないような取り組み方が大事になります。

そのために大事なのは、運動に対しての考え方だと実感しています。

まじめストイック型の人間は運動を始めるとついつい過度に頑張り過ぎて追い込みます。ストレスが積み重なるので、サドンダウン型やステップダウン型の「うつ」にも陥りやすく、運動がうつの悪化を進めてしまいます。

私がランニングを再開したのはうつを改善したいという思いからですが、最初は不安が大きかったです。ランニングを再開して走れるようになると、大会に出なきゃいけないと思い、大会を意識すると、走ることでまた自分にプレッシャーをかけすぎて、うつ病が悪化するのではないかという不安が非常に大きかったのです。

精神疾患の治療に運動が良いとは言うものの、私自身が発症したきっかけは陸上競技を本格的に始めた後であり、また3回目、4回目もランニングをしっかりしている最中でした。

ランニングは好きですが運動全般は苦手で、学校の体育は苦痛で休みたいとばかり思っていました。

そういったこともあって、ランニングがうつ病の予防や治療に役立つという実感は持てず、大会に参加することを意識しただけで過去を思い出してしまい吐き気が出るは眠れなくなるはで、調子が悪化する引き金になるとさえ思っていました。

大会に出るとか考えずに軽い運動だけで満足すれば良いのでしょうが、私のことですから走り出して体力が付いてくるとまた記録を狙いたくなるのは明らかです。記録を狙うには無理をすることも必要になります。

その一方で記録を狙って走ることが全て悪いのであれば、そういったランナーが精神疾患を発症する割合は多くなっても良さそうですが、私の知る限りそのような様子は見受けられません。

私はどのようにランニングをしたら良いのかを考えた結果、一定の答えが出ました。私のような、うつになりやすい人間がうつの予防や治療に運動を活かすためには、運動に対しての考え方や休養の取り方を強く意識することが重要だと実感しました。

ストイックにとにかく追い込むことに慣れている私にとっては、考え方や休養について意識することは中々難しかったのですが、時間をかけて徐々に出来るようになってきました。

医療の現場からレポート⑬

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神かクリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

新型コロナウイルスの影響はまだ続く

前回のレポートで、自律神経症状が出てしまったことをお伝えしました。

その後、自律神経症状はおかげさまで小康状態となり普通に生活しておりますが、急に出てくるのでまだまだ油断しないでおきます。

新型コロナウイルス感染拡大がようやく落ち着いたと思ったらまた感染者数が増えており、まだまだこちらも油断出来ませんね。

重症者の数は決して多くないようですが、このまま感染拡大が起これば重症者が増えます。

精神科医ですが内科系の休日当番やPCRの検体採取もやっているので、感染拡大を助長しないよう気をつけます。

北本で寝泊まりするようになってまもなく4ヶ月ですが、自宅に戻るのは引き続き難しそうですね。
てか、戻れる日が来るのか?!

対面での運動講座開催は当面難しい

それはさておき。

当院ではヨガとランニングの運動講座を開催しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大にともない休止しております。

今の状況を見る限り、再開の目処が立てられません。

運動講座の代わりに、と言えるのかは分かりませんが…一緒に運動出来ないので、運動について解説した用紙を、希望する方には配布しています。

何としても運動をしてほしい方にはこちらから押し付けたりしていますが(笑)

YouTubeでの解説動画もQRコード化しております。

医療の現場からレポート⑫

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神科クリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

新型コロナウイルスとの共存

緊急事態宣言が解除され、その後に発出された東京アラートも解除され、休業要請も緩和され、徐々に通常の生活に戻りつつある方も増えているかと思いますが、東京での感染者数がここに来て増えており、まだまだ予断を許さない状況が続いています。

感染者数がゼロになるということは考えにくい(ゼロになったとしても一時的なものと思われます)ので、「ウィズコロナ」という言葉が示すように、新型コロナウイルスとどう共存していくかを考えていく方向に向かっていますね。

何でもかんでも自粛、規制、だけでは我々は生活できなくなるので、感染拡大リスクを減らしつつ活動をということで、再開の基準が設けられてそれに沿って動き出しつつあります。

とはいっても、明確には決められないことが多いので不安に感じたりイライラしやすくなりますよね。

メンタル不調の方が増えています

そんな先の見えない閉塞感、不安、イライラ、活動量の低下や生活リズムの乱れが引き金となって、精神的に調子を崩す方が増えています。

この状況で心穏やかに過ごせる人はまずいないでしょうが、やはり心身へのダメージは大きいですよね。

緊急事態宣言が出て間もない時期だったかと思いますが、「自殺者の数が減った」という報道がありました。危機的状況が起きると、すぐに沈んでしまう反応を起こす場合と、最初は逆に元気になって活発になる反応を起こす場合があります。元気な状態が長く続けばよいのですが、知らず知らず無理をしている状態なのでどこかで沈んでしまいます。

私たち精神科医は改めて気を引き締めて治療に向き合わないといけませんね。

とはいってもダメージは他人事ではない

そんなことを考えて気を引き締めていたのですが、私自身が自律神経の乱れで若干失速しました。

まず最初は首に原因不明の湿疹が出て広がり、かゆみの影響で眠れなくなりました。

その後数日して、急に激しい動悸や大量の発汗、吐き気、倦怠感、筋肉痛などの症状が一気に噴き出してきました。

いずれも数日のうちに落ち着いたのですが、知らず知らず私も無理をしているのだなと感じました。

3カ月半ほど自宅に戻っていないですし、通勤時間往復3時間がなくなって時間が出来たからと今まで以上に活動をしていたように思います。

他にもストレス因子はありますが、減らせるストレスは減らすことを再度心がけて、メンタルを強くする運動をして、しっかり食べて寝るようにします。

「うつ」のタイプ分けと対処法

前回お示しした、7つのタイプ分けとその対処方法について簡単にですが記載してみました。

①ヘビーストレス(ステップダウン)型

誰もがなり得る最も多いケースです。ストレスが徐々に積み重なって、誰が見ても耐えられそうもない重さとなって押しつぶされるケースです。

②まじめストイック型

やり出すと時間を忘れて集中し、完璧を目指すがゆえに、ふと躓いた時や大きなヤマを越えた時に燃え尽きてしまうケースです。

[対処方針]

①②の防止策は、ついついやり過ぎていないか、細やかにウォッチして声かけする役割を、上司だけでなく同僚も担うことです。もちろん自分でもやりすぎていないか注意をすることが必要ですが、なかなか自分でブレーキをかけることは難しいです。

1時間作業をしたら5分の休憩を必ず入れる、休日は30分運動の時間を作る、などストレス対策を具体的に組み込む必要があります。

③サドンダウン型

「え?あの人がうつに?」と言われるのがこのケースです。

もともとメンタルが強いと本人も周囲も自覚していて、周囲からは信頼され、その信頼に応えるよう本人は仕事を引き受けて、周りも頼みやすいので頼みすぎて、ある時急に潰れてしまう、そんなタイプです。①と似ていますが、徐々にうつになる①と比べて、予兆が見えず本人も周囲も気付きにくいので注意が必要です。

④ロンリー・トンガリー型

自我が強く、いつでも誰に対しても我が道を貫く、軋轢を恐れない強気姿勢で常にいたのに、その自我、自信がふとしたことで揺らいだ時に、一気にうつに突入してしまうケースです。

周りとのあつれきが大きく孤立してしまい、居心地の悪さや自分を分かってもらえないつらさから調子を崩します。

[対処方針]

③と④の防止策は、周囲が本人の価値観や行動パターンを認めつつ、うまく主張を他人に譲るようにさせたり、相手に合わせることができるようにその人のコミュニケーションをより柔軟なものに変えていくことが有効です。思考の柔軟さを出すには、ただ考え方を変えようと頑張るのではなく運動も取り入れるのが有効です。運動をして脳の神経のバランスを整えると、より柔軟に考えやすくなります。

⑤耐えて笑って型

相手を立てるがゆえに、全体の調和を守るために、いつも顔で笑って心で泣いて、自分を押し殺して、その先に受容限度を超えてある日ポキリと折れてしまうケースです。

[対処方針]

明るく社交的に振る舞っていてうつとは無縁なタイプのように見えますが、心の中ではストレスを溜め込んでいて、ふとした時に突然怒りっぽくなったり、愚痴を言い続けたりと豹変します。溜まったストレスをはき出す相手を持つ、相手がいない場合は運動して気持ちをリセットする時間を必ず作る、という「ストレスをはき出す場所」はしっかり確保しておきましょう。

⑥ドキドキ顔色うかがい型

不安が強くいつも緊張し、ちょっとしたことで落ち込みやすい性格で、相手の心理を必要以上に過敏に感じ取って、妄想レベルの想像をして不安に押しつぶされてしまうケースです。

[対処方針]

⑤は気配りが過ぎて知らないうちに我慢を重ねてしまっていて、⑥は小さなことが不安につながってしまっているので、リラックスできる時間を作るように、自分の存在に自信を持てるように、周囲の声かけや配慮が必要となります。自分で自信を持たせるためには一人で出来る運動を自分なりの目標を立てて継続してみると良いですね。

⑦ライトうつ型

嫌なこと、責任がかかることには過敏に反応して落ち込んで潰れやすい一方で、ストレスの少ない環境ではのびのびと元気に動ける、そんなタイプのうつです。「新型うつ」「現代型うつ」という名前で問題になったのがこのタイプですね。

一見、本当に調子が悪いのかどうか、周囲から判断するのが難しい場合もありえます。

「仕事では調子悪そうなのに遊ぶ時には元気だな。」、「休職中なのに旅行には行けるんだな。」と周囲から非難を受けやすいですね。

[対処方針]

他の6つの型と比べると、より重いうつになる前に本人が対処している、ブレーキをかけるタイミングを無意識に知っているとも言えます。その判断を理解しつつ、会社なりコミュニティなりで果たす役割を、様子を見ながら少しずつ増やして自信を与えていくことが大切です。重くなることを予防するためには運動を取り入れると良いですね。

1つのタイプだけに当てはまる方もいれば、複数のタイプを併せ持っている方もいるかと思います。私自身は、睡眠時間が平均3時間くらいで診療などをして、休診日にも非常勤で働きに出てあまり休まっていないので、①ヘビーストレス(ステップダウン)型に当てはまりますね。さらに、やり出すと時間を忘れて熱中するので②まじめストイック型にも当てはまります。また、ニコニコしてあまり自分のツラさを見せず、うつ病の症状が重い時でも「のんきそうだね。」と言われていたくらいですから、⑤耐えて笑って型にも当てはまります。人の顔色を気になって過剰に考えてしまうので⑥ドキドキ顔色うかがい型でもあります。

当てはまるものが多いほどうつに陥りやすいので、再発しないように気を付ける必要がありますね。

どれに当てはまるか、これを読んでいる皆さんもご自身の言動を振り返ってみて下さい。

「うつ」をもっと相談しやすく

前にも触れた通り、精神疾患に対しての偏見をなくし、発症しても気軽に相談出来、予防や治療について当たり前のように話題に出来る世の中を作っていけたらいいなと強く考えて、「明るい精神科」を目指しています。

私が考えるまでもなく、精神科に相談しやすくなるような世の中にしようという取り組みは行われてきました。

だいぶ前にはなりますが、「うつは心の風邪」という言葉でうつ病の啓蒙が行われたことがあります。実際のうつ病は風邪よりもはるかに治療が難しいものだ、という反発が大きく、今ではあまり聞かれなくなりました。風邪というよりも治療がなかなかうまく行かない重度の肺炎という感じでもあります。ただ、いきなり肺炎になることはなく風邪の症状が出て徐々に悪化するように、うつについてもいきなり重くなることは少なく、その手前で何かしらのサインが出ていることが多いです。

私の場合は、ほぼ毎回吐き気と食欲低下、倦怠感がまずありました。おかしいと思いつつ我慢していて、大きく調子を崩してしまいました。

うつ症状が重くなって仕事が出来なくなって、やっと本人も周りも気付いて、「どうしよう。」と慌てることが多いです。そこまで重くなってから対処をしようとしても、うまく行かないことの方が多くなります。

そうなるずっと前に、「心が風邪を引きそう。」という段階で気付き、相談出来ることで「うつ」の悪化を防ぐことが出来ます。

「うつ」を怖いもの、隠すべきものと考えて遠ざけるのではなく、誰もがなり得る身近なものと認識することで、「うつ」のサインを自覚しやすかったり周囲に気付かれやすかったり、相談しやすくなります。

そのためにはまず、「うつ」をより分かりやすく、かつ重さを感じないようにとらえ直すことが必要だと思い、7つのタイプに分類してみました。

「何だ、このネーミングは!精神疾患をバカにしているのか?」と怒る方もおられると思います。批判は覚悟しつつも、少しでも日常会話の中で口にしやすい言葉を考えてみました。

【7つのタイプ】

①ヘビーストレス(ステップダウン)型

誰もがなり得る最も多いケースです。ストレスが徐々に積み重なって、誰が見ても耐えられそうもない重さとなって押しつぶされるケースです。

②まじめストイック型

やり出すと時間を忘れて集中し、完璧を目指すがゆえに、ふと躓いた時や大きなヤマを越えた時に燃え尽きてしまうケースです。

③サドン・ダウン型

「え?あの人がうつに?」と言われるのがこのケースです。

もともとメンタルが強いと本人も周囲も自覚していて、周囲からは信頼され、その信頼に応えるよう本人は仕事を引き受けて、周りも頼みやすいので頼みすぎて、ある時急に潰れてしまう、そんなタイプです。①と似ていますが、徐々にうつになる①と比べて、予兆が見えず本人も周囲も気付きにくいので注意が必要です。

④ロンリー・トンガリー型

自我が強く、いつでも誰に対しても我が道を貫く、軋轢を恐れない強気姿勢で常にいたのに、その自我、自信がふとしたことで揺らいだ時に、一気にうつに突入してしまうケースです。

周りとのあつれきが大きく孤立してしまい、居心地の悪さや自分を分かってもらえないつらさから調子を崩します。

⑤耐えて笑って型

相手を立てるがゆえに、全体の調和を守るために、いつも顔で笑って心で泣いて、自分を押し殺して、その先に受容限度を超えてある日ポキリと折れてしまうケースです。

⑥ドキドキ顔色うかがい型

不安が強くいつも緊張し、ちょっとしたことで落ち込みやすい性格で、相手の心理を必要以上に過敏に感じ取って、妄想レベルの想像をして不安に押しつぶされてしまうケースです。

⑦ライトうつ型

嫌なこと、責任がかかることには過敏に反応して落ち込んで潰れやすい一方で、ストレスの少ない環境ではのびのびと元気に動ける、そんなタイプのうつです。「新型うつ」「現代型うつ」という名前で問題になったのがこのタイプですね。

一見、本当に調子が悪いのかどうか、周囲から判断するのが難しい場合もありえます。

「仕事では調子悪そうなのに遊ぶ時には元気だな。」、「休職中なのに旅行には行けるんだな。」と周囲から非難を受けやすいですね。

複数のタイプを併せ持った「うつ」も存在します。

診断や治療には産業医や精神科医の診察が必要ではありますが、タイプ分けを理解しておくことで、周囲や本人がうつを身近に感じて受け止めやすくなります。また、周囲としても統一した見解や対応方法を共有しやすくなります。

この対処をどのようにするかは次回に説明しますね。

医療の現場からレポート⑪

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神科クリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

久しぶりに髪の毛を切ってもらいました!

昨年12月に髪の毛を切ってもらって(時間がないので1000円カットで)、今年に入ってからは新型コロナウイルス感染拡大のリスクを減らすため自分で髪の毛を切っておりました。

美容室、理容室がダメだというのではなく、あくまでも私の自己判断での行動です。

自分で雑にやっているのでガタガタになっていましたし、後ろは特に見えないのでめちゃくちゃで、とにかくうっとうしい長さにならなければいいや!という感覚で切っておりました。

床に髪の毛をまき散らさないように注意して、掃除機もかけたのですが・・・スタッフから「床に髪の毛が散乱している!」と指摘され(笑)。自分の掃除の甘さを反省しました・・・。

今回、非常勤の仕事で電車に乗って移動することとなり、途中駅で時間があったので1000円カットのお店の前を通ったところ、誰もいない!!

急いで入って、7カ月ぶりに自分以外の方に髪の毛を切って頂くことが出来ました。

だいぶ疲れた顔ですね・・

自宅にはまだ帰っておりません

自宅が都内にあり通勤時間が長いため、感染拡大リスクを減らすために北本にて寝泊まりをするようになって3カ月が経過しました。

先ほどと同様、電車に絶対乗ってはいけないというのではなく、あくまでも私の自己判断での行動です。

比較的体力がある私はウイルス感染をしても無症状もしくは軽症で済んでしまうかもしれませんが、私と接触をした方は感染すると重症化するかもしれません。命を落とすかもしれません。

また、私が感染していることが分かれば、診療がストップしてしまい非常に多くの方に迷惑が掛かります。

私がこうしているから皆もこうしなきゃいけない!と私の行動を皆さんに押し付けるつもりはありません。

繰り返しますが、あくまでも私の自己判断での自主規制です。

どこまで規制したらいいのか、正解はないですし終わりもないので迷いますね。

迷って考えが煮詰まった時には、ランニングをして切り替えています。現実逃避、とも言いますが(笑)

2年前の写真

私がこれから進む道

たまたま近隣の市で勤務をしていた関係で、それまで縁もゆかりもなかった埼玉県北本市にて2011年4月に北本心ノ診療所を開業して、今年で10年目になります。

開業の柱として私は、「地域精神科医療の窓口になること」「スポーツ選手の診療に力を入れること」の2つを掲げました。

現在は1日60人くらいの患者さんを毎日診察し、休診日には市内や近隣にも出向いて相談業務などを行い、この地域の精神科医療の窓口としてだいぶ認知されつつあるのではないかと感じています。

その一方で、診察室内で出来ることには限りがあるなとも強く感じています。

どれだけ丁寧に診察しても、当たり前ですが1日の大半の時間を診察室外で過ごします。来院する患者さんの診察をすることはもちろん大切ですが、精神疾患の予防、治療のためには診察室にこもっていては限界があるとも強く感じています。外に出てより多くの人の日常に触れていくことを心がけていきたいと思います。

また、診療所を開院する際に「スポーツ精神外来」を掲げてスポーツ選手のメンタルケアにも取り組んでいます。診療形態については試行錯誤を繰り返しましたが、通常の診療と別枠でメールにて連絡を頂いて予約するというスタイルにしています。開業してから130人以上のスポーツ選手(ジュニアから社会人、実業団、プロまで幅広く)の診療を行ってきました。

現在はスポーツ選手のメンタルケアにも注目が集まり、大分理解がされるようになったと感じる一方で、私が中学1年生の時に言われたような、「それくらい乗り越えないと。」という言葉で片付けられることもいまだに多いようです。「競技を辞めればいい。」と簡単に言われてしまうことも多いようです。つらい気持ちを改善したくて受診をしたのにそう言われてしまうと、絶望的な気持ちになりますよね。

せっかく才能があるにも関わらず精神的な不調で競技を断念する選手が多いこと、スポーツに対して否定的なイメージを強く持って辞めてしまう選手が多いことは非常にもったいないと思います。せっかく選んだスポーツですから、少しでも長く続けて欲しい、そのスポーツを好きなままでいて人生に活かして欲しい、というのが私の願いです。

スポーツ精神外来を受診する選手は皆、素晴らしい才能を持ち結果も出しているのに、それを自信に変えることが出来ず悩み、精神的な不調に陥っています。診察で話しをしていく中で、不調の今でも出来ることを探していくこと、出来ることを積み重ねていく作業を一緒にしています。

多くの選手は運動しか出来ない自分を卑下しますが、何気なくやっていること自体が実はすごいのです。

診療所で患者さんと一緒に運動をしている「院内フィットネス講座」を開催しているのですが、そこに現役スポーツ選手や元スポーツ選手を講師としてお呼びすることがあります。選手にとっては普段の練習でやっている何気ない動きであっても、私や患者さんから見ると「え?こんなにもすごいことが出来るの?!」と毎度驚いています。選手達と接して、患者さんは普段の診察では見せないような生き生きとした表情をして、院内では普段見られないような良い動きをしています。スポーツが精神疾患の治療に役立っていると実感しています。

スポーツを長く続けていると、引退した時に「社会に通用しない人間」というレッテルを貼られることがあります。

スポーツの世界で生きてきたのですから、生活スタイルや考え方の違いはあっても仕方ありませんが、スポーツに専念してきた時間は決して無駄なことではありません。競技としてやってきた動きは運動療法として精神疾患の治療や予防に活かすことが確実に出来ます。また、プレッシャーのかかる中で結果を出すための取り組みは、多くの人の参考になります。

それだけ素晴らしいことをやっているのだと自覚して、競技に取り組んで良いと考えています。

スポーツ選手のメンタルケアをしつつ、スポーツを精神疾患の予防や治療に活かすこと。私自身がスポーツをきっかけとしてうつ病を発症し、繰り返して回復する過程でたどり着いた私の役割です。

多くの方と一緒に運動を楽しみながら、皆が精神疾患を予防し、発症しても治療が可能な世の中を作っていけたらいいなと思います。

薬を正しく理解する

精神科医として17年勤務しておいて、今更「薬を正しく理解する。」というのはおかしな話しではありますが。

私は中学時代に市販の風邪薬を一気に飲んでしまったり、大学に入ってからは通院しましたが、吐き気や倦怠感の副作用が強すぎて、医師には言わず自己判断で中止しました。そして時々思いだしたように飲んでみては強い副作用でまた飲むのを中止して、ということを繰り返していました。

医師になってからようやく、薬の副作用や効果について知識として深く理解しました。私がうつ病になった時にも、今度こそ医師の処方通りに服用し、副作用についても伝えました。

しかし、知識として理解しているのと実体験では印象が全く違います。

「抗うつ薬は効果が出るまでに時間がかかる。効果が出るまでは頻回に処方を変更するのではなく、一定期間待つ必要がある。」と分かっていても、病状があまりにもツラくとてもではないけど待てませんでした。待てずに医師にお願いをして、何度か変えてもらいました。変えた結果、一時的に症状が落ち着くことはあってもまた悪化することを繰り返していました。悪化するとまた耐えられずに変更して・・・を繰り返してしまいました。

結局一番効果があったのは、最初に服用していた抗うつ薬でした。仮に抗うつ薬を最初のまま変えずに服用していたら、もっと改善が早かったのかもしれません。変えていなくても効くまでに同じくらい長い時間がかかった可能性もあるので何とも言い様はありませんが。

効果が出るまで待たなければいけないことのツラさと共に、効果が出るまでに待つことの大切さも実感しました。診療で患者さんに説明する際には、私の体験したことを強く意識しながら、実感を込めて伝えるようになりました。

また、薬の副作用が人によっては強く出ることは知識として、あるいは診療の中で知っているつもりでしたが、死にたい気持ちがより強まるような重い副作用を経験して、改めて薬の怖さを思い知りました。

私はある薬を服用して、体がムズムズしてじっとしていられない症状が出て耐えられなくなり、窓からすぐにでも飛び降りたいような気持ちになりました。飛び降りそうになりましたが、実行しようとしたその時に他の人に声をかけられたりして思いとどまりました。

その薬は決して特殊なものではなく、大きな副作用なく服用しているものでした。精神科だけではなく、内科でも割と出されるようなありふれたものです。依存性の高いものでもありません。また、服用量も決して多いわけではなく、むしろ今後もっと増やした方が効きやすいのではと思うような量でした。最初は副作用だと気付かず、うつ病の症状が悪化して死にたい気持ちが強まったのかと思いました。しかし、もしかしてと思ってその薬を中止したら、死にたい気持ちはありますがじっとしていられない、窓からすぐにでも飛び降りたい切迫感は減りました。

副作用を気にしすぎて少ない量をダラダラ服用し続けるのも実際には良くないのですが、副作用の訴えには敏感であり続けようと考えています。

精神科で扱う薬に関しては否定的な意見も多くあります。話しを聞かない医者が薬漬けにして楽をするためのもの、危険なもので飲んだら余計に悪くなる、などと言われています。

薬の処方の仕方について、私たち精神科医はまだまだ気を付けていかないといけません。必要以上に多くの薬を、「患者さんが希望するから」と言い訳して処方していないか。増やすことは積極的でも、減らせる薬があるかどうかについては充分考えていないのではないか。反省して改善する点はあります。

ただ、薬は危険だからどんな症状でも一切飲むべきではないという極端な考えには私は医師としてだけではなく一人の患者としても賛同出来ません。

合う薬があったからこそ、私のうつ病は改善し、死にたい気持ちに完全には流されずに、こうして生きていられると実感しています。今も薬は服用していますが、完全になくすと何かの拍子にまたうつ病が悪化して、今度は死にたい気持ちに抗えないかもしれません。そうならないために、いつまでなのか分かりませんが薬の服用を続けます。

ただ、副作用から命を落とす可能性も実感したので、病状が崩れない範囲で少しでも減らせる薬があれば減らしたいと考えています。

また、薬を飲んでいるから後は何も気にしなくても大丈夫、とも思いません。薬を飲むだけでは私のうつ病はコントロール出来ないと感じていました。薬を使いつつも、何かプラスαのことをしていかないとまた再発するだろうと考え、そのプラスαとして私に合うとたどり着いたのが、うつ病になるきっかけでもあったランニングでした。

医療の現場からレポート⑩

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神科クリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

新型コロナ禍で自律神経失調症に?

新型コロナウイルス感染症感染拡大により発出されていた緊急事態宣言が5月末に解除されましたが、都内などで感染者数が増え、「東京アラート」という言葉がニュースになっていますね。

まだまだ新型コロナウイルス感染には注意をして生活をする必要がありそうです。

そんな中で、「うつ、自律神経失調症の方が増えている。」というニュースを目にしました。

「うつ」については、「気分が落ち込んで憂うつで、何もやる気が出なくて眠れないし食欲もなくて・・・・。」と何となくイメージできる方が多いのですが、「自律神経失調症って何?」というと分かったような分かっていないような、そんな方が多いように思います。

そもそも自律神経って何?

自律神経って一つの独立した神経のように思っていませんか?

自律神経は、「活動する時に活発になる交感神経」と「安静時に活発になる副交感神経」で構成されています。つまり、単一の神経ではないのです。

呼吸、血液の循環、体温調節、消化、排せつ、免疫など全身の機能を調節するために24時間働いています。

交感神経と副交感神経がバランスよく働くことで我々の体は保たれるのですが、自律神経失調症ではこのバランスが崩れています。

自律神経失調症の症状は?

ふらつき、動悸、発汗、息苦しさ、のぼせ、冷え、頭痛、耳鳴り、便秘、下痢、生理不順、吐き気、胃痛、頻尿・・・・・

症状を挙げるときりがなくなってしまいますが、全身の器官をコントロールしているので人によって様々な症状が現れます。

ついでに言うと、「自律神経失調症」は一つの疾患名というよりは、「交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態となって起きる症状」の集まりのことです。

不規則な生活、新型コロナ禍のような大きなストレスがきっかけで一過性に起こる場合と、うつ病やパニック障害などの症状の一つとして起きる場合などがあります。

私たちが出来る対策は?

うつ病やパニック障害の症状として起きる場合は、その治療をすると自然に治まることも多いです。薬を飲んだり、カウンセリングを受けたり、動けそうなら少しずつ運動もしたり。

新型コロナ禍のような大きなストレスが原因の場合、中々避けるのが難しいですよね。前もって準備のしようがないですし、ストレスから逃れることも不可能ですから。

予防するためには極力規則正しい生活をして、しっかり運動をしましょう!

結局運動って言いたいだけだろうって?

バレましたか・・・

室内で出来る運動をぜひ一緒にやりましょう!

回復してようやく始められた振り返り

2014年以降は精神的に随分安定しましたが、自分のこれまでを振り返ることが出来るようになったのは2016年頃からでした。

それまでは、自分の苦しい体験を思い出そうとするととてもツラく感じたり、「また悪くなったらどうしよう。」と不安が強くなるので思い出せませんでした。

私のうつ病の治療に関わった方には少し話しをしましたが、詳しく話すことはなく、大半の方には私がうつ病だということは気付かれていませんでした。

2017年頃からは私の病状を詳しく振り返ることが出来るようになりました。発症したのが中学1年生の時ですから1991年です。26年の時間がかかって、ようやく受け入れたのです。

4回うつ病を繰り返している中で死にたい気持ちが強まり、一歩間違えたら死んでいる、そんな状態に何度もなりました。家族がいるのに死んだら残された家族がショックを受ける、命を大事にしないといけない、そんなことは分かっていても、それよりはるかに大きな力によって死に引き寄せられました。

もし5回目のうつ病が起きたら、今度こそは死にたい気持ちに逆らえず自殺を成功させてしまうかもしれない、そう感じました。

再発させないためには、うつ病になりやすい要因を少しでも減らして行く必要があります。

ここまで私が自分の生い立ちや病歴を長々と振り返ってきたのは、決して「私はこんなに大変な経験をしました。かわいそうな人です。」と言いたいからではありません。

私が自分の経験を振り返り、また精神科医としての診療経験から得てきたことを多くの方に伝えたい、その長い前置きとして、振り返りました。

私は子供の頃から自分に自信がなく、ことあるごとに自分のことを否定しました。高校時代に模擬試験で全国1位を取った時ですら、自分を高く評価することが出来ませんでした。おそらく、仮に何かで世界1位になったとしても、当時の私は「まぐれだ。すぐに転げ落ちて、周りから馬鹿にされる。」などと考えて自信に出来なかったと思います。それくらい、何をやってもダメなヤツだと自分を卑下していました。

今でもその考えが根本から変わることはありません。何かあると「やっぱり自分は何をやってもダメだな。」とすぐ考えて自分を責めます。長年染みついた考え方は簡単に変わるものではないですから。

しかし、この考えが絶対的に悪いものだと否定する気持ちはありません。ダメだと思うからこそ、もっと頑張らなきゃと思う力にもなってきました。受験勉強の世界だけではありますが、全国1位になったこと、東京大学理科3類に現役合格したことは、自分をダメなヤツと否定する自信のなさが生んだものと考えています。

また、視野が狭くなり何かに過集中といえるほどのめりこむのも私の特徴の一つです。子供の頃は陸上競技で生きることだけを考えてそれを生きる支えにして、中学受験、大学受験でも勉強だけに集中して自分の思う結果を出しました。医師になってからも過集中となって人並み以上に頑張れました。これも生まれつき持っているもので、治せるものではないと思います。

自分に自信がなく自分を否定すること、視野が狭く過集中になることが私の頑張りの源である一方で、うつ病になった原因の一つと言えます。ですから、「治せないものは仕方ない!」と開き直るのではなく何か変える必要はあります。といっても、自信を持てとか集中しすぎるなとかいきなり言われても変えられるものではありません。気の持ちようだけで変われるくらいの簡単なものならば、そもそもうつにはならないでしょう。

これは多くの方が既に試みていることかもしれませんが、私が日々意識したことは、「今のダメな自分でも出来ていること、頑張ったら出来そうなことは何か。」と自分に問いかけて具体的に見つけ出すことでした。

最初は「頑張っていることなんて何もないよ!」「こんなの出来たって、出来たうちに入らないよ!」とくじけそうになっていました。

そこで私が完全にくじけなかったのは、既に紹介しましたが、以前にかけられた友人の言葉があったからです。

「5分しか走れなかった。」とうつ病を経験して走れなくなったダメな自分の状態を友人に伝えたところ、その友人は「5分も走れたの?前は外に出てすぐ引き替えしていたじゃん。段々走れているね。」と言ってくれました。

半年前はもっと走れていたのに、こんなにも走れなくなるのか、と落胆している私の心にはずっと残りました。その時の友人と同じように、「何も出来ない私しか知らないもう一人の『私』だったらどんな言葉をかけてくれるかな?」そう想像して、どんな些細なことでも良いから、今の時点で出来ていることを探して書き出し、もうちょっと頑張れば出来そうなことも書き出しました。

極力目線を低くして出来ていることを見つけ出し、頑張れば出来そうな低いハードルを設定しました。低いハードルを設定して、それをクリア出来たら「出来て当たり前」ではなくて「ちゃんと超えられた」ことを意識するようにしました。

もちろん、周囲の出来ている人のことは嫌でも目に入ります。「それだけしか出来ないの?」という声も耳に入ります。そんな時には比べて落ち込んでしまいます。これまでは落ち込んだらずっと落ち込みっぱなしでした。

しかし、最近では落ち込んだままではなく、「それでも、私には出来ていることがある。まだこれから出来ることもある。」で終われるようになってきました。

また、過集中になって簡単に限界を超えてしまうことに対しては、「頑張り過ぎないようにしよう」と加減するのは難しいと感じたので、「過集中となって頑張ってしまうのは仕方ない。その代わり、無理矢理休養をして回復させる期間を作ろう。」と意識するようにしました。

休養することにはものすごい罪悪感があります。「サボってしまった。もっと頑張れたはずなのに。」とマイナスに捉えがちです。しかし、休養をおろそかにして無理を重ねた結果力尽きてしまったりうつ病になるのですから、「休養はその後にまた頑張るために必要なもの。」と強く意識するようにしました。休養をした後にどう頑張るかを具体的にイメージして、少しでも休養中の罪悪感を減らそうとしています。