医療の現場からレポート⑫

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神科クリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

新型コロナウイルスとの共存

緊急事態宣言が解除され、その後に発出された東京アラートも解除され、休業要請も緩和され、徐々に通常の生活に戻りつつある方も増えているかと思いますが、東京での感染者数がここに来て増えており、まだまだ予断を許さない状況が続いています。

感染者数がゼロになるということは考えにくい(ゼロになったとしても一時的なものと思われます)ので、「ウィズコロナ」という言葉が示すように、新型コロナウイルスとどう共存していくかを考えていく方向に向かっていますね。

何でもかんでも自粛、規制、だけでは我々は生活できなくなるので、感染拡大リスクを減らしつつ活動をということで、再開の基準が設けられてそれに沿って動き出しつつあります。

とはいっても、明確には決められないことが多いので不安に感じたりイライラしやすくなりますよね。

メンタル不調の方が増えています

そんな先の見えない閉塞感、不安、イライラ、活動量の低下や生活リズムの乱れが引き金となって、精神的に調子を崩す方が増えています。

この状況で心穏やかに過ごせる人はまずいないでしょうが、やはり心身へのダメージは大きいですよね。

緊急事態宣言が出て間もない時期だったかと思いますが、「自殺者の数が減った」という報道がありました。危機的状況が起きると、すぐに沈んでしまう反応を起こす場合と、最初は逆に元気になって活発になる反応を起こす場合があります。元気な状態が長く続けばよいのですが、知らず知らず無理をしている状態なのでどこかで沈んでしまいます。

私たち精神科医は改めて気を引き締めて治療に向き合わないといけませんね。

とはいってもダメージは他人事ではない

そんなことを考えて気を引き締めていたのですが、私自身が自律神経の乱れで若干失速しました。

まず最初は首に原因不明の湿疹が出て広がり、かゆみの影響で眠れなくなりました。

その後数日して、急に激しい動悸や大量の発汗、吐き気、倦怠感、筋肉痛などの症状が一気に噴き出してきました。

いずれも数日のうちに落ち着いたのですが、知らず知らず私も無理をしているのだなと感じました。

3カ月半ほど自宅に戻っていないですし、通勤時間往復3時間がなくなって時間が出来たからと今まで以上に活動をしていたように思います。

他にもストレス因子はありますが、減らせるストレスは減らすことを再度心がけて、メンタルを強くする運動をして、しっかり食べて寝るようにします。

「うつ」のタイプ分けと対処法

前回お示しした、7つのタイプ分けとその対処方法について簡単にですが記載してみました。

①ヘビーストレス(ステップダウン)型

誰もがなり得る最も多いケースです。ストレスが徐々に積み重なって、誰が見ても耐えられそうもない重さとなって押しつぶされるケースです。

②まじめストイック型

やり出すと時間を忘れて集中し、完璧を目指すがゆえに、ふと躓いた時や大きなヤマを越えた時に燃え尽きてしまうケースです。

[対処方針]

①②の防止策は、ついついやり過ぎていないか、細やかにウォッチして声かけする役割を、上司だけでなく同僚も担うことです。もちろん自分でもやりすぎていないか注意をすることが必要ですが、なかなか自分でブレーキをかけることは難しいです。

1時間作業をしたら5分の休憩を必ず入れる、休日は30分運動の時間を作る、などストレス対策を具体的に組み込む必要があります。

③サドンダウン型

「え?あの人がうつに?」と言われるのがこのケースです。

もともとメンタルが強いと本人も周囲も自覚していて、周囲からは信頼され、その信頼に応えるよう本人は仕事を引き受けて、周りも頼みやすいので頼みすぎて、ある時急に潰れてしまう、そんなタイプです。①と似ていますが、徐々にうつになる①と比べて、予兆が見えず本人も周囲も気付きにくいので注意が必要です。

④ロンリー・トンガリー型

自我が強く、いつでも誰に対しても我が道を貫く、軋轢を恐れない強気姿勢で常にいたのに、その自我、自信がふとしたことで揺らいだ時に、一気にうつに突入してしまうケースです。

周りとのあつれきが大きく孤立してしまい、居心地の悪さや自分を分かってもらえないつらさから調子を崩します。

[対処方針]

③と④の防止策は、周囲が本人の価値観や行動パターンを認めつつ、うまく主張を他人に譲るようにさせたり、相手に合わせることができるようにその人のコミュニケーションをより柔軟なものに変えていくことが有効です。思考の柔軟さを出すには、ただ考え方を変えようと頑張るのではなく運動も取り入れるのが有効です。運動をして脳の神経のバランスを整えると、より柔軟に考えやすくなります。

⑤耐えて笑って型

相手を立てるがゆえに、全体の調和を守るために、いつも顔で笑って心で泣いて、自分を押し殺して、その先に受容限度を超えてある日ポキリと折れてしまうケースです。

[対処方針]

明るく社交的に振る舞っていてうつとは無縁なタイプのように見えますが、心の中ではストレスを溜め込んでいて、ふとした時に突然怒りっぽくなったり、愚痴を言い続けたりと豹変します。溜まったストレスをはき出す相手を持つ、相手がいない場合は運動して気持ちをリセットする時間を必ず作る、という「ストレスをはき出す場所」はしっかり確保しておきましょう。

⑥ドキドキ顔色うかがい型

不安が強くいつも緊張し、ちょっとしたことで落ち込みやすい性格で、相手の心理を必要以上に過敏に感じ取って、妄想レベルの想像をして不安に押しつぶされてしまうケースです。

[対処方針]

⑤は気配りが過ぎて知らないうちに我慢を重ねてしまっていて、⑥は小さなことが不安につながってしまっているので、リラックスできる時間を作るように、自分の存在に自信を持てるように、周囲の声かけや配慮が必要となります。自分で自信を持たせるためには一人で出来る運動を自分なりの目標を立てて継続してみると良いですね。

⑦ライトうつ型

嫌なこと、責任がかかることには過敏に反応して落ち込んで潰れやすい一方で、ストレスの少ない環境ではのびのびと元気に動ける、そんなタイプのうつです。「新型うつ」「現代型うつ」という名前で問題になったのがこのタイプですね。

一見、本当に調子が悪いのかどうか、周囲から判断するのが難しい場合もありえます。

「仕事では調子悪そうなのに遊ぶ時には元気だな。」、「休職中なのに旅行には行けるんだな。」と周囲から非難を受けやすいですね。

[対処方針]

他の6つの型と比べると、より重いうつになる前に本人が対処している、ブレーキをかけるタイミングを無意識に知っているとも言えます。その判断を理解しつつ、会社なりコミュニティなりで果たす役割を、様子を見ながら少しずつ増やして自信を与えていくことが大切です。重くなることを予防するためには運動を取り入れると良いですね。

1つのタイプだけに当てはまる方もいれば、複数のタイプを併せ持っている方もいるかと思います。私自身は、睡眠時間が平均3時間くらいで診療などをして、休診日にも非常勤で働きに出てあまり休まっていないので、①ヘビーストレス(ステップダウン)型に当てはまりますね。さらに、やり出すと時間を忘れて熱中するので②まじめストイック型にも当てはまります。また、ニコニコしてあまり自分のツラさを見せず、うつ病の症状が重い時でも「のんきそうだね。」と言われていたくらいですから、⑤耐えて笑って型にも当てはまります。人の顔色を気になって過剰に考えてしまうので⑥ドキドキ顔色うかがい型でもあります。

当てはまるものが多いほどうつに陥りやすいので、再発しないように気を付ける必要がありますね。

どれに当てはまるか、これを読んでいる皆さんもご自身の言動を振り返ってみて下さい。