それでも運動が嫌いな方へ

それでも運動が嫌いな方へ

心の運動療法家、岡本浩之です。

私の息子は短距離選手で長く走るのは大の苦手ですが、冬場は長距離のレースにも積極的に出ています。走らされている、という感じですが(笑)
時々息子と一緒に練習するのですが、本人が短距離以外は苦手だと思い込んでいるだけで、体が出来てくれば中距離種目でも相当速くなれると感じます。
果たしていつか本人もその才能に気付くのでしょうか?

では、本題です。
前回まで、心の健康のためになぜ運動が良いのか、どのような運動が良いのかを長々と話してきました。

今回改めて強調したいのが、運動する上で大事なのは速さや上手さではなく、個人の心拍数である、ということです。

運動嫌いの方には、他人との比較で嫌な経験をして運動に対するマイナスイメージが強くなっている方も多いでしょう。

サッカーの授業で「お前は下手だから。」とボールを1回もパスしてもらえなかった。
クラス対抗リレーで、遅いために皆から冷たい視線やきつい言葉を浴びせられた。

私も小学校1年生頃に、鉄棒の前回りがクラスで一人だけ最後までできずに、全員が見ている前で練習をさせられて恥ずかしかったことをいまだに覚えています。

心の健康に効く運動は、他人との比較の前にまず自分の心拍数との勝負です。
上手い下手、速い遅いは関係ありません。思い切って動いてみましょう!

それでも・・

冬は寒いし、夏は暑いし、着替えるのも面倒だし、運動着を持ち歩くだけで荷物も重くなるし、やっぱり面倒ですよね。
かくいう私も、誰かに強制されたわけではなく自分から走っているくせに、走るのが面倒でどうしても走りたくない日があります。

私の周りのランナーには、今日の夜飲み会でたくさん飲み食いするから朝のうちに走った、お菓子をたくさん食べたから今日だけは走らなきゃ、とおっしゃる方がいます。

このように、運動する目的をこのように自分で作ってみるのはいいですよね。
単にやらされるのではなく、自分からやるということを意識できますよね。

そして運動療法についての私の記事を最後まで読んでくださった皆さんは、

「今日は仕事で大失敗して怒られて、コルチゾールがたくさん出ているから、ボクササイズでコルチゾールを消費するぞ。」

とか、

「最近忙しくて集中力が落ちているから、ランニングでBDNFをたくさん作って、脳の働きを強くしておこう。」

など、ここで知った言葉を、運動の目的の中に入れていただけたら嬉しいです。

そして最大心拍数の80%を超えるまで上がる運動が30分出来たら、

「心を一番強くする運動が出来た!」と自画自賛してください。

少しでも多くの方が身体を動かし、心身の健康を自ら作り上げることが当たり前になることを願っています。
私自身も自分の心の健康維持のために運動を続けていきます。

運動療法についてのお話しはいったん終わりますが、今後も様々なテーマで記事は更新していきますので、どうぞお付き合いください。
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1月9日に初のライブ講座を実施致しました。その映像と資料が録画講座として聴講できます。
ご興味のある方はこちらからご覧ください。

きつい運動だけが意味あるの?

きつい運動だけが意味あるの?

心の運動療法家、岡本浩之です。

知人よりご縁をいただき、児童養護施設を退所し社会に出て頑張っている若人の集いの場を訪問し、食事をしながら話しをしました。
今年やりたいことというテーマから始まり、話しが非常に弾んであっという間に時間が過ぎました。
もちろん運動についてのお話もしましたが、皆さんとても興味を持って聞き、質問も沢山してくださって楽しかったです。

それでは本題です。

心の健康のためにやりたい運動として「最大心拍数の80%以上まで心拍数が上昇する有酸素運動を少なくとも30分間」を週3回以上継続することを提案し、解説しました。

でもこの運動、運動経験がない運動嫌いな方にはあまりにも高い目標かもしれませんよね。
あまりにきついと身体を壊してしまったり、苦痛が大きすぎて余計心の不調を起こしてしまい続かない、ということが目に見えていますよね。

それより軽い運動は意味じゃだめなのか?
というところで前回は終わりました。

結論を先に言いますと、軽い運動にもちゃんと意味はあるのです。

歩く習慣がある人は、その運動量にかかわらず、歩かない人よりも脳の老化がゆっくりだったという報告がたくさんあります。

実際に私が見ている患者さんでも、長いこと不調を繰り返していたけどウォーキングをすることで調子が安定した、という方が多くいらっしゃいます。

有酸素運動を長い期間継続することだけでも心の健康維持効果があるので、まずはできる範囲の運動から始めて、徐々に慣らしてください。
週3回30分、最大心拍数の80%以上まで上がるような運動が安定して出来るようにまでなったら、それを継続してみましょう。

心の健康が手に入りますよ!!
ではっ!!

・・・・

これで終わると、釈然としない方もいらっしゃいますよね。

運動がすべてです!!!
と言って何でも運動で解決しようというのって、強引すぎますよね?

運動がそこまで効果的なら、学校でやった体育の授業だけですでに皆心の健康を手に入れてもおかしくないですよね?

でも、体育のせいで運動が嫌いになった、って方もいますよね?
私自身、走ること以外の運動は大半が苦手で体育の時間は憂鬱なことが多かったです。
また、長距離走は速いのに短距離走はとても遅く、「陸上部のくせに」と笑われていました。
こういう嫌な経験って、何十年経っても鮮明に覚えていますよね?

運動をやるにあたって、前回も話しましたが改めて強調したいことがあります。

それはまた次回に。
運動療法のお話しも次が最終回です!

つづく

1月9日に初のライブ講座を実施致しました。その映像と資料が録画講座として聴講できます。
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適切な運動 その④

適切な運動 その④

心の運動療法家、岡本浩之です。

明けましておめでとうございます。
昨年末から活動を始めたばかりですが、引き続き今年も「心の運動療法家」としての活動をより多くの方に知って頂けるように、発信していきたいと思います。
宜しくお願い致します。

それでは本題です。

適切な運動、というタイトルも今回で4つ目になり、もう飽きてきたよ、という声も聞こえてきそうですが、、
もうしばらくお付き合いください。

心の健康のためにやっておきたい運動・・・つまり「最大心拍数の80%以上まで心拍数が上昇する有酸素運動を少なくとも30分間」を週3回以上継続することのうち、「週3回という頻度」について前回はお話ししました。

そして、運動の基準になるのが心拍数(1分間に何回心臓がドキドキするか)です。

最大心拍数というものがあります。
(220-年齢)で計算されます。現在39歳の私は181です。
その80%以上ですから、145以上ですね。

心拍数145は私の場合、ゆっくりのジョギングよりも少し速いくらいのペースのランニングに相当します。
楽とは言えませんがまだまだ余裕があり、おしゃべりをしながら走れるペースです。
ただし、同じ年齢の人が同じ心拍数になった時の感じ方には個人差があります。

全力ではないけど、すごく楽でもない。
そんな強さの運動が、心の健康維持には適しています。その指標として分かりやすいのが心拍数です。

運動をすでにやっている方の多くは、「心拍数が大事なんてとっくに気付いているよ!」と感じるのでしょうが、初めて知った方も多いのではないでしょうか?

心拍数は、運動が終わってすぐ胸に手を当てて、何回ドキドキ脈打つかを10秒間数えてそれを6倍した数字を使ってみてください。

胸にベルトを巻いて心拍数を測定したり、また腕に巻いて脈拍数(心拍数とほとんど同じと考えて良いです)を測定する機器もあります。
私は、腕に巻くだけで脈拍数が分かるランニングウォッチを使用しています。

是非これからは心拍数を意識してください。

でも、運動習慣がない状態から、最大心拍数の80%以上の運動を30分週3回続ける状態になるまでって、相当大きな差がありますよね?

以前にも書いた通り、運動習慣があったはずの私も運動をやめて体力が落ちると、30分のランニングというのは大きな壁になりました。

もっと軽い運動じゃあダメなのか、気になるところですね。

またまた引っ張ってしまい恐縮ですが、この続きは次回に。

つづく

※2018年1月9日20時~ライブ講座を実施致します。
運動療法についてさらに詳しく解説致しますので、ぜひご覧ください!

適切な運動 その③

適切な運動 その③

心の運動療法家、岡本浩之です。

12月24日に全国高校駅伝がありましたね。
毎年テレビで観戦して、高校生ランナー達の走りからパワーを頂いています。

私が走ることを本格的に意識したきっかけは、小学校1年生の12月に全国高校駅伝をテレビ観戦したことでした。
それまで「自分は何をやってもダメだ、カッコ悪い。」と決めつけ、運動が出来る人、人前でも堂々と話せる人をうらやんでばかりでした。

しかし高校駅伝を見て、「僕も頑張って走ったらここに出られるかも。」と初めて自分にワクワクしながら走りました。
全国高校駅伝を走るという夢はかないませんでしたが、あの時の気持ちが巡り巡って「心の運動療法家」に結びついていると思うと感慨深いです。

前回のおさらいです。

①心の健康のためにやっておきたい運動として、「最大心拍数の80%以上まで心拍数が上昇する有酸素運動を少なくとも30分間」を週3回以上継続することを提案したい。
②30分という時間には、「人間の健康な体を維持するのに必要とされる活動量からの計算」、というだけでなく、実体験からも重要な意味を感じる。

この2点でしたね。

今回は、週3回という頻度ついて説明したいと思います。

週3回の中身については、3日連続で運動して後は休むという偏った形よりは、1日おき時々2日おきという形ですとより良いです。

運動しない期間を長くすると、その間で日々の強いストレスによるダメージを受けて、せっかく運動しても効果が弱まって不調に陥りやすくなります。

激しい運動をした時、体調が悪い時には3日間以上休むことも大切ですが、3日休むと体力が低下します。
体力が低下すると、心を強くするのに効果的な強度の運動をこなすことができません。

私自身、3日間完全に休んだ後に走るといつもより重さを感じて早い段階できつくなり、心のへの効果がいつもより少なく感じます。

かといって、毎日強度の高い運動をし続けると、ダメージばかりが大きくなります。
耐えられる範囲でしっかりストレスを与えるという意味では、まず週3回を目標にしましょう。

次回は心拍数についてのお話しをしますね。

つづく

※2018年1月9日20時~ライブ講座を実施致します。
運動療法についてさらに詳しく解説致しますので、ぜひご覧ください!

適切な運動 その②

適切な運動 その②

心の運動療法家、岡本浩之です。

先日シンポジウムにて、「マラソンで自己ベストを達成するためのメンタル」というような内容で話しをする機会がありました。

市民ランナーであっても、記録を狙うとなるとメンタルの問題は重要ですね。皆さん真剣に聞いて頂き、また具体的な質問も多く頂きました。

このテーマでもいつか詳しく話しをしたいですね。

では、前回のおさらいです。

心の健康維持のためには「最大心拍数の80%以上まで心拍数が上昇する有酸素運動を少なくとも30分間」を週3回以上継続すること、を提案しましたね。

この運動について掘り下げてみたいと思います。1回では説明しきれないので、何度かに分けて解説したいと思います。

いきなり話しはそれますが、「30分以上運動しないと脂肪は燃えない。」と以前は言われていましたが、そんなことはないです。
たとえ5分の運動でも脂肪は燃えますのでご安心?ください。

余計なことを言いました。

この30分という時間の意味は何でしょうか?

人間の健康維持に必要とされる活動量と、運動で消費されるエネルギーとを計算したらこんなくらいは必要になる、と言ってしまえばそれまでですが。
それ以外にもこの30分という時間で非常に印象に残っている実体験が2つあります。

私は大学卒業までは陸上競技をやっていたので、かなりの運動量をこなしていました。
しかし、引退した途端に運動をせず不摂生を続けました。その結果、体重は増えて体力は落ち、ゆっくりですら1分走ると疲れて止まってしまう状態になりました。

そのような体力のないところからダイエット目的でランニングを再開しました。

10分~15分までは簡単に走れるようになりましたが、30分のランニングを行うとあまりにダメージが大きすぎて、体調を崩していました。30分というのはそれくらい大きな壁でした。

体力が向上しないことに嫌気がさし、「めんどくさいなあ。」「やめたいなあ。」と思いながら走っていました。
それでも我慢して練習を続けて、30分のランニングが出来るようになると、不思議なほど大きな達成感を得ることが出来て、前向きな気持ちで走ることに取り組むようになりました。

もう1つは、4回目にうつになった時のことです。何もする気力がなく、それまで練習で30㎞、40㎞と当たり前のように走っていたのに、家から1歩出ることさえ面倒になり運動どころではなくなりました。部屋から出て数歩歩くのも大変な労力でした。

その状態がしばらく続いた後、じっとしていても何も変わらないからと思い、少しずつランニングを再開しましたが、やはり10分15分が限度でした。
走れない自分が情けなく、余計に落ち込みましたが周囲の支えもあってどうにか続けていました。

それから3か月ほど経過し、30分のランニングが出来ました。
そのことがものすごく前進したように感じて嬉しく、そこから段々うつが改善していきました。

ですから、私自身にとってこの30分というのは非常に大きな意味を持ちます。

どんなに運動経験があっても、運動しなければあっという間に体力は落ちます。
いきなり以前と同じ運動を行おうとすることは無理ですし、ケガの危険があります。
また「こんなに動けないはずではないのに。」と落ち込んで挫折しやすいです。

まずは30分間の運動を目標にして、到達してそれが継続できるようになったら達成感を味わってください。

「30分」という時間についてだけで長く話してしまいましたね。
次回からも引き続き、「週3回、30分、最大心拍数の80%以上」という運動について解説したいと思います。

つづく

※2018年1月9日20時~ライブ講座を実施致します。
運動療法についてさらに詳しく解説致しますので、ぜひご覧ください!

適切な運動 その①

適切な運動 その①

心の運動療法家、岡本浩之です。

後日詳しく報告したいと思いますが、先日行われたリレーマラソン大会に大会スタッフ、医療スタッフとして参加致しました。
事前の準備段階から微力ではありますが関わっていき、マラソン大会を一から作り上げていくことの難しさを体感しました。
自分自身が参加する大会が開催されるには、当然ではありますが非常に多くの方の熱意、苦悩、努力、協力があるのだということを改めて思い出しながら、日々の練習や大会に臨みます。

 

それでは、運動療法についてのお話しの続きです。

前回のおさらいをしておきましょう。

①ストレスによって「コルチゾール」が脳内で作られる。
②コルチゾールは本来ケガの回復のために使われてなくなる。
③余ったコルチゾールは脳にダメージを与えて、心の健康を悪化させる。
④運動することで、余ったコルチゾールを使うことが出来る。
⑤しかし運動をしすぎるとコルチゾールが増えすぎて、心は不健康になる。

過度の運動は逆に心を不健康にするので、適切な運動が大切となります。

では、「適切な運動」と言われて、皆さんはどんな運動をイメージするでしょう?

30分のゆったりとしたウォーキングを毎朝する。
仕事帰りに毎日ジムで筋トレをする。
仲間と週末にサイクリングをする。
家族で休日にハイキングをする。
野球やサッカーを週2~3回する。

内容は様々ですが、無理なくできる運動、楽しく終われる運動というイメージが多いでしょうか。

実際にどの程度の運動が良いのか、様々な研究結果があります。

例えば、

毎日10分前後の、強度の高い運動を継続する。
最低限1週間に3回、20~30分の有酸素運動が良い。
1日40分の有酸素運動を週3回継続する。

などです。

同じ人間が色々試してみて比べたわけではないので、研究の結果もそれぞれ異なります。
しかし、多くのの研究結果をまとめた意見としては、「週3回以上、30分、まあまあ強めの運動」、というのが共通項になっているようです。

それらも踏まえて、心の健康のために私が提案したい運動は、「最大心拍数の80%以上まで心拍数が上昇する有酸素運動を少なくとも30分間」を週3回以上継続すること、です。

30分、週3回、ってところダイエットのための運動と同じようですよね。
体にいいことは脳、つまり心にもいいのです。

唐突に結論から話してしまったので、これだけ言われてもよくわからない方が多いかもしれません。
あるいは普通過ぎて新鮮味がないよ、と思われるかもしれません。

補足の説明が必要ですよね。

次回も引き続き、適切な運動についてお話ししたいと思います。

つづく

※2018年1月9日20時~ライブ講座を実施致します。
運動療法についてさらに詳しく解説致しますので、ぜひご覧ください!

ストレスと運動 その②

ストレスと運動 その②

心の運動療法家、岡本 浩之です。

12月10日に39歳の誕生日を迎えました。
子供の頃、39歳というと落ち着いて貫禄がある大人をイメージしていたものですが。
まさか、年中薄着で外を何時間も走り回る39歳になるとは。

この落ち着きのなさは運動療法を実践できている証拠でもあるので、引き続き走り回りたいと思います。

では、前回のおさらいをしておきましょう。ストレスの持つ良い面をお話ししました。

①運動もストレスの一種である。
②ストレスによって「BDNF」という、脳への肥料が作られる。
③BDNFは脳を強くし、心の健康維持に役立つ。
④運動はほかのストレスと比べて、はるかに多くのBDNFを作ることが出来る。

良い面ばかりだとしたら、ストレスは今みたいに悪者あつかいされないですよね?
ストレスの悪い面というのはどういうものがあるのでしょう?

ストレスが発生すると、「コルチゾール」という物質が身体の中で作られます。

コルチゾールは、身体のケガに備えて作られ、ケガの回復のために使われてなくなります。

ストレスを受けるとコルチゾールが発生する仕組みは、人間がまだ狩りをしながら生活していたような大昔に出来上がりました。
この頃は、獲物を探して何日も歩いたり走ったり、人間より強い動物と戦ったり、逃げたりしていました。

なので、ストレスは身体のケガと大いに関係していました。
ストレスが身体のケガだった時にはこれで良かったのですが、私たちがストレスから身体のケガを負うことは今やほとんどありません。

使われなかったコルチゾールは、脳にダメージを与えます。
そして、それが心の不調につながります。

やはりストレスは脳に悪影響もありますね。

運動はBDNFをたくさん作るので、コルチゾールのダメージに負けず脳を強くすることが出来ます。
また、運動すると身体を痛めつけるので、身体の回復のためにコルチゾールを使うこともできます。

しかし、過剰な運動でコルチゾールが作られすぎてしまうと、脳がダメージを受けて回復や強化が追い付かず、心の不調の原因になります。

これでは運動によって心が不健康になって逆効果ですね。適切な運動が大切です。

では、適切な運動ってどれくらいなのでしょう?

次回は、私が考える「適切な運動」についてお話ししたいと思います。

つづく

ストレスと運動 その①

ストレスと運動 その①

心の運動療法家、岡本浩之です。

今月行われた福岡国際マラソンで、日本人選手が好記録を出しましたね。
好記録にも浮かれず、冷静に今後を見据えて受け答えしている姿が印象的でした。

ちなみに、2時間35分以内の記録を直近2年以内に出していれば、トップ選手だけでなく市民ランナーでもこの大会に参加できます。
現在の私にはとても届かない記録ですが、資格を得るべく練習に励みたいと思います。

ではまず、前回の記事のおさらいをしておきましょう。

①心の不調とは脳の問題と言いかえることが出来ます。
②運動することで脳の働きを強くし、脳の神経細胞を新たに作ることが出来ます。
③その結果、心の健康を取り戻して維持することが出来ます。
④一方で、運動がストレスになり、心の不調の原因にもなることがあります。

大事なのはこの4つです。

ストレス社会、ストレスフリー…
ストレスという言葉にはなじみがありますが、ではいったい何なのでしょう?

ストレスとは、「脳の神経細胞の活動を引き起こすものすべて」を指します。

コケて大ケガをする、寝るヒマもないほど仕事が忙しい、人間関係でもめる、といったマイナスなことだけでなく、テストで過去最高にいい点を取る、試合で優勝する、ずっと憧れていた人と会う、というプラスのこともすべてストレスになるのです。

激しい運動も軽い運動も、脳の神経細胞の活動を引き起こすのでストレスに含まれます。

実際のところ運動に限らず適度なストレスであれば、脳の今ある神経細胞を強くし、また新たな神経細胞を作ることでストレスに強い脳を作り上げます。
これには、「BDNF」と呼ばれる物質が関係しています。
BDNFは、新しい神経細胞の成長を促す肥料の働きをします。

じゃあ運動にこだわる必要ってないよね?
と思われる方も多いでしょうが、それでもあえて運動をおススメするのは理由があります。

ほかのどんなストレスを受けることよりも運動することによって、脳内のBDNFの数がはるかに多くなることがわかっているのです。

でも、ここまでで話しを終わらせてしまうと、「運動がストレスになり、心の不調の原因にもなることがあるのはなぜ?」という前回からの疑問に全く答えられていないですよね。

ストレスは脳を強くする良いものという認識でしかないですよね。

次回こそは、ストレスが脳に与える悪い影響についてお話ししたいと思います。

つづく

運動はなぜ心の健康にいいの?

運動はなぜ心の健康にいいの?

心の運動療法家、岡本浩之です。

先日、ボクシングの試合を観戦しました。
私自身がランナーということもあって普段は駅伝やマラソンばかり観戦しているのですが、違う競技も観ていて非常に感動しました!

夜遅い時間でしたが帰路思い立って、よく走るランニングコースを走っておきました。
感動と興奮で熱くなるとついついペースも速くなりますね。

さて、いきなり本題ですが、運動ってなぜ心の健康にいいのでしょうか?


運動したら体重が減った、ご飯がおいしくなった、よく眠れるようになった、という方もいらっしゃるかと思います。

また、私もそうですが運動した後は何となくスッキリした気持ちになる、という経験をしたこともある方も多いのではないでしょうか?

運動が健康に良さそうだというのはイメージしやすいですよね。


「心の健康」というと漠然として分かりにくいですが、全て脳の働きに関係していると思ってください。

大ざっぱに言いますと、脳の神経細胞同士のつながりがうまくいかなくなって脳の働きが悪くなり脳の神経細胞が傷ついたり減ってしまうことで心の不調が生じます。

実は、運動をすることによって脳の働きを整えて強くしたり、脳の神経細胞を新たに作りだすことができるのです。
その結果、心の不調から回復したり、心の健康を保つことが出来るようになります。

でも、運動するのってキツいよね?
キツいことやるのって余計ストレスになるんじゃないの?
と考えた方もいらっしゃるでしょう。

人一倍運動しているはずのスポーツ選手が、心の健康を保てなくなることは実際にあります。
私自身も、陸上競技でのプレッシャーから初めてうつになりました。
選手でなくても、運動嫌いな人にとっては、運動なんて苦痛でしかないでしょう。

そこで次回は、運動とストレスの関係について、お話ししたいと思います。

つづく

宜しくお願いします。

宜しくお願いします。

初めまして。心の運動療法家、岡本浩之と申します。
初回ですので、少し詳しく自己紹介をしておきたいと思います。

14年半以上精神科医として働いてきた一方で、中学、高校、大学、社会人とそれぞれ1回ずつ「うつ」になっています。

子供の頃から自分に自信がなく、マイナス思考の塊でしたが、唯一希望を持っていたのが長距離走でした。父親や兄が走る後ろをついていくのが楽しく、これだったら僕でもできる、と思いました。

中学時代に初めて「うつ」になったのは、陸上競技を始めて間もなくプレッシャーに負けてしまったことがきっかけでした。

陸上競技から離れることで一旦は落ち着きましたが、高校時代は「スポーツから逃げたダメな奴」と自分にレッテル貼りをして自信が持てず、「勉強だけは死ぬ気でやらなきゃ。」と、命の危険を感じるような心身の不調が出るまで追い詰めて勉強していました。

大学でも再び陸上競技をやってみましたが、ケガをして走れなくなり、ついには小学生の時よりも遅くなってさらに自信を失いました。

社会人になって仕事に慣れてくると、「こんなきついこと、よくぞ出来たな。メンタルが強いな。」と度々評価されました。
評価されたことが嬉しく、「自分の取り柄は、人が嫌がるきついことをやっても潰れないことだ。」と勘違いして、結果追い込みすぎて潰れました。

心の病気を治療する立場でありながら、自分のことは全然ケアしていませんでした。
さすがにもうこれ以上繰り返したくないと思って自分を見直して、気付いたことが二つありました。

一つは、自分はダメだ、何も出来ないと思ってきましたが、よくよく考えたら出来ていることって沢山あるな、ということです。
走ることで病んでしまったのに、現在また走る意味を見出して戻ってこられたのはすごいことだと思います。また、命の危険を感じるほど追い込んで勉強ができる高校生ってそうはいないですよね。

もちろん、もっとすごい人は世の中に沢山いるでしょう。でも他人との比較ではないのです。自分が頑張ったのだから、誰が何と言おうと自分だけは評価してあげないと、と気づきました。

これは、私個人について当てはまるだけでなく、患者さんを見ていて感じることでもあります。頑張って出来たことについては、皆さん「出来て当たり前だから、大したことない。」と過小評価し、出来なかったことに対しては強く自分を責めます。

この考え方は根本から変わるものではないですが、そういう考えの癖があることを自覚して、修正しようとするだけでも、心の不調から立ち直るきっかけとなります。

そしてもう一つが、走ることとうまく付き合えば、心の不調を予防したり改善する効果がある、ということでした。

走ることがきっかけでうつになったので、走ることは心身を削ってしまうという悪いイメージばかり持っていました。しかし、心が重いときに着替えて外に出て10分くらいゆっくり走って家に戻ると、不思議と軽くなっていました。

何度も走ってはやめてを繰り返してもまた走っているのは、走ることの効果を無意識のうちに感じていたからではないか、と気づきました。

そのような経緯から、心の不調に対して運動がどのように働くのかに興味を持ち、自分で勉強し、運動を実践してきました。
運動は体だけではなく心の健康にも良い、と言われれば何となく分かるとは思いますが、なぜ運動は心の健康に良いのか、そしてどのような運動が良いのか、を私なりに考えて運動療法としてまとめてきました。

まずは精神科医というものを身近に感じていただきつつ、運動療法というものについて発信していきたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

つづく