医療の現場からレポート⑧

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神科クリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

SNSでの誹謗中傷について

匿名のアカウントからSNSで他人を誹謗中傷する問題について、ネットやテレビなどで特にここ数日議論になっていますね。

SNS上でも対面であっても、誹謗中傷する側にはそこまでの悪意がない、そして自分の言葉が相手を傷つけることについて無頓着であることが多いです。

相手のことを許せないと思って、怒っただけ。

でも、相手だって悪い奴なのだから、何を言っても(しても)文句を言われる筋合いはない。

嫌だと思っても、いちいち気にしないでスルーすれば良いじゃないか。気にするということはやましいことがあるからだ。

誹謗中傷する側の意見として見かけたことがある言葉を一部並べてみました。

誹謗中傷するのは人としてやってはいけないことだ。厳罰化すべきだ。そういう意見がテレビでもネット上でも多い気がします。

もちろん、どんな理由があっても他人を誹謗中傷することなどやってはいけないことですし、悪質なものには罰則が設けられることにも賛成しています。

誹謗中傷は特別な人間だけがすること?

ただ、誹謗中傷することを他人事ととらえている人が多いことにも違和感があります。

他人を誹謗中傷することって本当に自分には無関係なことなのでしょうか?

ツラい時、苦しい時、当たれる相手についつい八つ当たりをしてしまったことはないですか?

相手を怒る時に、思わず強い口調で相手を否定するようなことを言ったことはありませんか?

自分としては何気なく出てしまった言葉かもしれないです。私だってツラかったのだからそれに免じて許してくれたって良いじゃない、と思うかもしれません。

それをいうなら、相手だって私のことを理解してくれなかったのだから。私にそれくらい言わせて欲しい、と思うかもしれません。

怒らせたのは相手の方でしょう?と思うかもしれません。

でも、言われた相手の心には深い傷として刻み込まれて、ずっと残ることはあります。

言ってしばらくしてから相手が傷ついたことを知り、そんなつもりはなかったのに、と後悔しても取り戻せません。

何を勝手に傷ついているの?と腹立たしくなるかもしれませんが、相手を傷つけたことは事実として残ります。

私も含めて、誰もが誹謗中傷を行う可能性はあり、それに対しての責任を問われてもおかしくない立場だと認識しないといけません。

自分だけはそんなことをしない。その思い込みがある限りは誹謗中傷が簡単に起きてしまうように感じます。

気をつけていたらキリがないけど…

実際、私にも「言いすぎた。」と後悔したことはいくつもあります。「本当にこんなことを言う必要があるのかな?」と迷い悩むことは今でも沢山あります。

診療の時もそうです。患者さんの希望に沿えない、厳しい対応をしないといけない、そのような時にもやはり迷いがあります。

私の言動によって相手は傷つき、私の言動のせいで自傷行為をしたり、命を絶つ可能性もある。それでもその言動は必要なのか?もし責任を取れと相手やその家族から訴えられた時、慌てふためいたり後悔したりしないのか?

そう自分に問いかけてから、伝えるようにしています。

それだけよく考えてから伝えても、暴言を吐かれた、傷ついたと受け取る側がとらえることは当然あります。

ですから、伝えた後にも、「本当にあの言動は必要だったと思えるのか?」「どんな結果になっても責任を取れる、その覚悟はあるのか?」と自分に問いかけています。

そんなこと気を付けていたらキリがないし何も言えなくなるよ、と窮屈に思う方もいるでしょう。

確かにキリがないし、誰も傷つけない言葉を常に使うのは不可能なことではあるのですが、難しいからこそ自分の言葉の重さは強く自覚しておこうと私は思っています。

医療の現場からレポート⑦

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神科クリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

緊急事態宣言解除に向けて

新型コロナウイルス新規感染者数が日々発表されていますが、ここの所全体的に減少傾向ですね。そのため、多くの県で緊急事態宣言が解除されました。

もちろん、緊急事態宣言が解除された、解除されそうだからといって新型コロナウイルス感染拡大前と同じ生活に戻すのは難しく、以前との変化に戸惑ったりストレスを感じながらの生活にはなると思います。

緊急事態宣言が解除されてもまた感染拡大が再度起きることは予想されますので、再度緊急事態宣言が出て、という繰り返しになるものとも考えられます。

大きな変化が今後も予想されるので、引き続き精神的には消耗しやすいですね。

2ヶ月以上の病院寝泊まり生活

私自身も、感染拡大を受けて病院に寝泊まりをするようになってから2ヶ月以上が経過しました。

いつもと違う状況に過剰なほど適応しようとやや躁的になっていた(意識的にではなく無意識な変化です)ように思います。今までと違うことをドンドンやってみたり、zoom等を通して人との交流が増えたり。私の周りにもこれまでにも増して精力的となっている方が多くいらっしゃいますが、疲れすぎてしまわないかと勝手に心配をしております。(自分の心配だけしていろ!とおしかりを受けそうですが)

私の場合はやや躁的になっている状態はやはりと言いますか長く続かず、徐々に疲れは出ているなと自覚しています。もちろん、活動的になりすぎないよう自分にブレーキをかけたり、睡眠時間を今以上に削らないようにしたりと調子を崩さないように意識はしていたので、通常通りの生活は出来ていますが。

私が疲れているから皆さんも疲れているはず、と単純には言えないですが、精神疾患を抱えている方の中にも疲れや不調を感じている方が多いようですので、前週に引き続きzoomを使ってのお悩み相談、共有ミーティングを企画しました。

第2回zoomお悩み相談、共有ミーティングルーム開催

前回は対象者を「精神疾患であることをオープンにして働いている方」としましたが、今回は「精神疾患を抱えている方(受診していない方を含む)」としました。

様々な背景を持つ方がいらっしゃるので、話題が散逸しないようトークテーマを「新型コロナウイルス感染拡大による心身の変化」、「日常生活、仕事、学校での悩み」、「現在の精神科治療に対して思うこと」と事前に決めさせて頂きました。

直前にTwitter、Facebookで告知をしたのですが、5人定員で5人の方が参加を希望して下さいました。1名の方は当日に調子を崩されて参加出来なくなりましたが、4名の方にはご参加頂き、90分間お話を伺いました。

最後に少し時間が余ったこともあり、オンライン診療についてどう思うかというテーマでもお話を伺いました。

抱えている悩み、困っていること、治療について思うことを話して頂き、また私に質問もして頂いてとても勉強になりました。

今回も私と1度も会ったことがない方にもご興味を持って参加して頂き、オンラインならではの交流をすることが出来ました。

月2回くらいの開催ですと無理なく出来そうなので、次は6月に開催を検討しております。

次回は、「発言はしたくないけど話しを聞いてみたい」という精神疾患の方にも「マイク」「ビデオ」をオフにしてご参加頂けたら良いなと考えています。

医療の現場からレポート⑥

医療の現場からレポート⑥

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神科クリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

緊急事態には本性が見える?

私のところに通院をしている患者さんの中には、精神疾患であることをオープンにして障がい者枠で一般企業に勤めている方が少なからずおられます。

そのうちの何人かの方がおっしゃったお話しに、とても引っかかるものがありました。

それは・・・

「今まで精神疾患であることに配慮して優しく接していた方が、新型コロナウイルス感染でバタバタしだしてから急に強く当たってくるようになって。忙しい中で働いていて誰もが余裕はないですし、私は障がい者ということで皆さんと同じように働けず迷惑をかけている立場なので、申し訳ないという思いから何も言えません。ただ、こういう時に人間の本性が出るんだなと感じています。」

という内容です。

もちろん、誰もが経験したことのない状況で、仕事も含めて生活が大きく変わり、ストレスを強く感じて心に余裕がないのです。強く当たるようになった方を一方的に責めるのはおかしいですし、私の患者さんも責めるとか怒るような口調ではなく、「仕方ないですよね。」と困惑しながらも受け入れている様子でした。

声を上げられず我慢してため込み、調子を崩しやすい

この患者さん達はたまたま私に話しをすることが出来たので、少しは吐き出せた面があるかもしれません。

しかし、周りに気を遣って声を上げられず、悩みや不安、不満を抱え込んでしまう方は非常に多いことを感じます。

私自身を振り返ると、ツラくて泣き言を言いたくても、「声を上げることは恥ずかしい。」、「私ごときがツラいというなんて迷惑だ。」、などと考えて何も言えませんでした。

何も言えずに我慢して、不満を持って被害的になったり、我慢しすぎて潰れてしまったりしていました。

そういった方が少人数で集まり、自分の思いを吐き出して共有出来る場所があれば良いな、と考えて企画しました。

1つの部屋に集まるというのは新型コロナウイルス感染拡大のリスクがあるので出来ませんが、名前を出したくない方は匿名で、顔を出したくない方は顔を出さずに、オンラインでならより気軽に参加しやすいかと思いました。

あまり堅苦しくしたくなかったので参加費は無料として、「第1回zoomお悩み相談、共有ミーティングルーム」と名付けて5月10日18:30~1時間の設定で開催しました。

第1回zoomお悩み相談、共有ミーティングルーム開催

色んな背景を持つ方のお話しを聴きしたいところですが、あまりにもテーマが絞れないと参加者同士が共感しづらかったり、全体として話しがまとまらなかったりするので、今回は、対象者を「精神疾患をオープンにして働いている方」としました。

直前にTwitter、Facebookで告知をしたのですが、4人の方が参加を希望して下さいました。

新型コロナウイルス感染拡大による生活や病状の変化、仕事での悩み、現在の精神科治療に対して思うこと、というテーマでお話をして頂きました。

予定された1時間を過ぎてもまだまだお話を伺っていたいところでしたが、20時近くにもなったので終了としました。

私と1度も会ったことがない患者さんにも参加して頂き、短い時間ですが交流することが出来たのは私にとって非常に大きな経験でした。

大人数になると一人一人が話せる時間が短くなるので、1回5人以内、90分という形が良いのかなと思いました。

新型コロナウイルス感染症流行の影響で当面は自宅に帰れず、使える時間が比較的多いので、精神疾患の方を対象に今後もこのミーティングを開催し続けたいと思います。

オンラインミーティング用に自撮りライトとWebカメラを買ったことですし(笑)

医療の現場からレポート⑤

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神科クリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

誰もが余裕のない状況

新型コロナウイルス感染症拡大が依然として続き、5月6日までの期間で出されている緊急事態宣言も1ヶ月程度延長される見込みです(令和2年5月2日時点)。

経済的にも精神的にも非常に苦しい状況が続きます。

新型コロナウイルス感染症については、感染しても無症状で経過する方が多い一方で、発症すると急激に重篤化し命を落とす方も少なからずおられます。高齢者や基礎疾患がある方が重篤化しやすいとされるものの、若い方でも新型コロナウイルス感染症で重篤化して命を落とす例もあり、若いから安心だとは断言出来ないですね。

症状はないけど自分が感染していると仮定して、自制をして行動することがやはり求められます。

とはいえ、いつまで続くのか分からない、いつ発症して重症化するのか分からない不安は大きなストレスです。

運動は積極的に

ストレスがかかり続けると免疫力は低下します。そうすると感染症にかかりやすくなることが知られています。また、活動量が落ちることも精神的な不調の原因となります。ですので、心身の健康維持や感染症発症予防のためには運動は積極的に行って良いと考えています。

その一方で、ランニングに関して気になるニュースやSNS上の議論を目にすることが多くなりました。

それは、マスクやBuffで口を覆って、ランニングエチケットを守りましょうというものです。ランニングをする時に吐く息が広く拡散して感染を拡大するため、感染防止の対策をして走りに行きましょうというものです。

山中伸弥教授がマスクやBuffの使用を「ランニング時のエチケット」として提唱したことで、着用が一気に広まりました。

これについて少し細かく考えてみました。

ランニングの際、感染拡大防止のために気を付けたいこと

色んな議論が巻き起こって収拾がつかないことも多いのですが、感染症の専門家の話しを聞くと、感染拡大防止のために一番大事なのは人と人との距離を充分に確保することです。Social Distanceという言葉も今回の新型コロナウイルス感染症の影響で広く知られるようになりましたね。

ランニングに関して言えば、一人で走るようにする、周りに人がいない場所や時間帯を選んで走る、ということがまず大事になります。誰もいない場所でずっと誰とも会わないまま走れるとしたら、マスクやBuffで口や鼻を覆う必要はないでしょう。

ただ、どうしても人のいる場所を通ってのランニングをするしかない場合、近い距離で人とすれ違わざるを得ない時にはマスクやBuffで口や鼻を覆う、さらにはその手前からスピードを落として息が荒くならないようにする、ということは必要かと思います。

歩行者とすれ違う、歩行者と追い越す場合、ランナーはスピードを上げていないつもりでも、至近距離で自転車とすれ違うような恐怖を歩行者に感じさせることがあります。それに感染拡大の恐怖も加わると、「ランニングは危ないから禁止して欲しい。」と言いたくなる人の気持ちも理解出来ます。

マスク、Buffがあれば大丈夫?

ここで気をつけないといけないのが、マスク、Buffをしてランニングをいるから安心、安全と油断してしまうことです。

ランニングをして濡れているマスクやBuffを、無意識のうちに手で触っていないでしょうか?もし自分が感染しているとしたら、汚染されたマスク、Buffを触った手も感染源となります。例えば手を洗わないまま自動販売機で飲物を買ったら、押しボタン式の信号機を押したら、また他人が触りそうなところを触れてしまったら、感染拡大を助長してしまいます。

Buffを外す時に汚染した部分が顔に触れて顔が汚染され、顔を触った手で・・・・これも感染拡大を助長しますね。

また、マスクやBuffをしているからSocial Distanceを気にしないで良いかというと、そうではなくてやはり他人と充分な距離を確保することは必要です。

現在北本にて生活している私は、走る時間が主に深夜ということもあり人とすれ違うことはあまりないです。とはいえ念のためにBuffをつけたまま走っているのですが。

これから気温上昇が続くと、マスクやBuffをつけたままランニングをして熱中症で倒れる方が増えるのではないかとも心配しています。マスクやBuffを何のために、どのようにつけて走るのが良いのかを考えながら、健康的に走りたいですね。

サングラスにBuffを装着するとこのような姿になり、これはこれで不安や恐怖の対象となりそうな気がします。。。

医療の現場からレポート④

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神科クリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

新型コロナウイルス関連相談室

私は北本心ノ診療所での診療以外にもいくつか仕事をしています。そのうちの一つに、企業への定期訪問、社員との面談があります。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、皆の不安も強くなっています。

社内で感染者が出ると会社名が報道されて、行動や対策に何か不備がなかったのか厳しい目で見られてしまいます。そんな状況ですから、なおのこと皆神経質になりますよね。

さらに医療崩壊のニュース、病院の受け入れ拒否のニュースが頻繁に報道されているので、不安はさらに強くなります。

「何となく身体が怠いけど、これは新型コロナウイルス感染ではないのか?」

「子供が熱を出している。新型コロナウイルス感染症だったらまずいので、自分もしばらく休んだ方が良いのかな?」

「医療崩壊のニュースが報道されていて、熱があっても受診を断られたりするようだけど、じゃあ体調が悪い時には一体どこに相談したらいいの?」

などと、新型コロナウイルス感染症が拡大する前はあまり気にしていなかったことでも過敏になります。

在宅ワークに切り替えると、顔を合わせる同僚に相談出来ていたことが相談出来ず、こういった悩みを自分一人で抱え込むことが多くなります。

そういった方々の相談窓口として「新型コロナウイルス関連相談室」が開設され、早速相談を頂いています。

オンラインでの面談を行って、まずは話しを聞いて今の悩みを整理し、今後どのような対応をするのが良いかをお伝えしています。

精神科オンライン診療の料金体系に変化が

精神科でのオンライン診療の問題の一つに診療報酬の問題がありましたが、令和2年4月22日に厚生労働省から通達があり、これまで対面での通院精神療法を行ってきた患者さんについて月1回のみ「147点」を算定出来ることが周知されました。

通院精神療法(5分超、30分以内)が330点であること、週1回算定出来ることに比べると低い点数と回数とは言え、大きな変化であるといえます。

オンライン診療を受けている方はご存じかもしれませんが、オンライン診療では保険点数として支払う以外に、システム利用料というものがかかります。

システム利用料?

オンライン診療を既に導入している病院から話しを聞くと、診療報酬の保険点数に加えてシステム使用料として1000円~3000円(それ以外の金額を設定しているところもあります)を患者さんから徴収しているようです。

オンライン診療のシステム使用に初期費用+月々の運用費がかかることから、医療機関がシステム使用料を独自に設定しているのですね。

「そんなの安くしたらいいだけじゃないか?」「てか、そんなの無料でいいじゃん!」と思うのですが、ただ安くして簡単に向精神薬が手に入るということは必ずしも良いことばかりではないようです。

オンライン診療で通常より安く手に入るからと多く薬をもらって、本来の上限を超える量をまとめて服用したり、他の方に売ったりという事例が現実にあります。

システム使用料を高く設定したからといってそういうリスクがゼロになることはないのでしょうけど、安易な投薬を避ける意味では仕方ないのかなと思います。

オンライン診療と対面診療のどっちがよいのか・・・

オンライン診療は、病院で長く待って診療を受ける手間が省ける手軽さというメリットがあります。新型コロナウイルス感染拡大が起きている今、病院に長時間滞在することは感染リスクが高まりますから、このメリットは大きいですね。

そのメリットがある反面、窓口での支払い額は多くなるという大きなデメリットがありますね。

私は医師として診療をしている一方、うつ病患者として通院中でもあります。

感染リスクを考えると、リスクを減らす分出費が増えるのは仕方ないと思うので、オンライン診療に切り替えようと思います。

患者さん1人当たりからの病院の収入としては、オンライン診療にすると結局少なくなるようです。

オンライン診療では対面診療と比べて患者さんについて得られる情報量が少なくなり、精神療法が充分には行えないと感じるので、病状が安定していて処方の変更も必要がない、1か月の長期処方が可能な方に限る必要が現時点ではあるでしょうか。

医療の現場からレポート③

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神科クリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

地域精神科医療の窓口として

2011年4月に北本心ノ診療所を開院しました。私が開業医の道に進むと決めた時、開業の柱を2つ決めました。

1つは、心の運動療法家の活動にもつながっていますが、「アスリートのメンタルケアをする」ことです。

そしてもう1つは、「地域精神科医療の窓口として機能する」ことです。

私は精神科医になってから、大学病院、民間の精神科病院、精神科救急専門病院、公的病院、精神科クリニックに勤務してきました。

地域の精神科医療の流れを考えた時に、まず窓口となるのが精神科クリニックです。クリニックでの対応が難しい、入院が必要、といった場合に患者さんの病状に応じて適切な医療機関に紹介され、治療を受けて、また地域の精神科クリニックに戻って来る。この流れがスムーズであるためには、窓口である精神科クリニックが役割を果たすことが大切だと感じました。

理想と現実の違いに悩むこともあります。「地域医療の窓口としての役割を充分果たしています!」と豪語出来るほどではないとしても、地域精神科医療の流れをスムーズにすることもある程度は出来ているのではないかと自負しています。

開業した後も北本市やその周辺での相談業務などを非常勤で行っていることもあり、開業してから9年の間で、診療所が地域精神科医療の窓口として認知されてきたと感じることが多いです。

窓口に立ってばかりいると見えないこと

地域精神科医療の窓口として診療所での診療を続けて行く中で、窓口を通過してからの精神科医療の流れが見えにくくなって来たことにふと気付きました。

診療所以外の病院にも勤務経験があり、地域精神科医療の流れは一通り理解したつもりですが、その流れは常に一定ではありません。私が理解しているのは古い流れのままで、しかもどれだけ正確に覚えているつもりでも記憶は風化します。今の地域精神科医療の流れ全体を把握するためには、診療所での診療だけではダメだと思うようになりました。

そのために、現在私は月に何度か、入院施設のある複数の精神科病院での当直業務を日曜や祝日に行っています。

診療所で週5日診療をして、1日は地域の相談業務や都内での面談を行い、残りの1日で当直をするので月の休みはほとんどなくなってしまいますが・・・

忙しくて大変だと思うことはありますが、入院施設のある精神科病院での当直によって入院治療の現状を把握することが出来るのは、その大変さを充分に補うものと感じています。

診療所での診療は続けつつ、調子を崩さない範囲で当直業務にも参加したいと思います。

新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染は収束するどころか、依然として感染拡大が続いています。

病院がクラスターになる事例も多く、「精神科だから感染症関係ないでしょ?」なんてことはなくて、皆対策に神経を使っています。

私たち医療関係者から拡大する可能性、また患者さんの新規入院、外出や外泊、外来通院、ご家族の面会からウイルス感染が広がる可能性を考えないといけません。

どこまで対策をすれば良いのか手探りの部分は多々ありますが、情報収集をしながらより適した対応が出来るように心がけています。

また、私は精神科医ですが、休日当番医として内科系の疾患も診察することがあります。差配する立場ではないので個人的な意見ですが・・・地域での医師の配置を考えると、新型コロナウイルス感染症の治療に対応す専門病院を作り、開業医も含めて地域の医師が交代で勤務し、私もそこに関わっていく必要が出てくるのかもしれません。

もちろん、精神科医が感染症の治療に急に関わっても足手まといなので、しっかり研修を受けつつ。

体力を落とさないようにしながら、今後のことを考えていきます。

医療の現場からレポート②

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神科クリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

オンライン診療の現状

2018年度からオンライン診療が保険診療として認められるようになり(様々な条件は付きますが)ました。2020年度からはオンライン診療を保険診療として行うための条件が緩和されてオンライン診療の普及に向けて政府が力を入れていることが伝わりますね。

それに加えて、新型コロナウイルス感染拡大に伴い通院が困難となる方が増えていることを鑑み、期間限定の対応ですが初診でもオンライン診療を保険診療として認める方針となりました。

オンライン診療では通院精神療法を算定することが認められていないという、精神科での課題は抱えたままでありますが。

オンライン診療を経験してみよう

先日、私はオンライン診療を試験的に取り入れてみました。

相手の方それぞれと事前にメールでのやり取りを繰り返して、すべて保険診療ではなく自由診療という形で実施しました。

時間にして60分ほど、初対面の方と画面越しに問診を行い、現在の病状や今後の治療方針について話しをしました。

私たち精神科医は患者さんの診察をする際に、話しの内容だけでなく、どのような口調や表情で話しをするか、どのような仕草をするかといったことも重要視します。

例えば、「元気だと言いつつも声に張りがない、伏し目がちになる、小刻みな動きが多くなる」、という場合には、元気だと言いつつも他に何か伝えたいことがあるのだなと理解し、さらに詳しく話しを聞きます。

言葉の裏にあるメッセージをオンライン診療では果たしてどの程度まで読み取れるのか?読み取れないのか?これが、今後オンライン診療で通院精神療法が算定出来るかどうかの1つの目安になるかもと勝手に考えています。

とにかく実際に体験してみないと話しが進まないので、手探りではありますが実施しました。

オンライン診療も活用出来そう!だけど・・・

パソコンだったりスマートフォンだったりの画面に向かって話しかけるので、私自身がぎこちない感じでした。また、実際に対面している時と違って、画面に向かうので口調も自然とは言えず、さらに機器の性能の限界で声が多少途切れたり、動きもやや滑らかさを欠いたりして、対面診療と同じように相手の状態を理解するのは難しいなと感じました。

それでも、話しているうちにお互いに自然な口調や表情変化になって言葉の裏にあるメッセージを読み取ることは出来ると感じました。

通院はしていないので「通院精神療法」の算定は無理としても、精神療法として算定出来るくらいの治療は提供可能だとは(個人的には)感じています。

ただ、普段は対面診療で毎日60人以上の診察をしていますが、オンライン診療で同じ人数を診ることが出来るのか、と考えた時に・・・。

うーん。どうも60人を診ているイメージがつかないんですよね。単に慣れていないから、というのもあるでしょうけど。

対面診療での診察のリズム、流れとあまりに違っていて、一連の流れが一人一人の診察の間で止まってしまうような。そんなぎこちなさがあります。

1日30人がオンライン診療で診れる人数の限界かな(今の私の能力では)、と思います。

まだオンライン診療の症例数が少ないので、今後経験を積んでいきます。

自宅に帰らず診療所内での生活が今後も長く続きそうですので・・運動もしながら頑張っていきます!

医療の現場からレポート①

心の運動療法家、岡本浩之です。

精神科クリニックで診療をしていて感じたこと、思っていることを「医療の現場からレポート」と(大げさに)題してお伝えしていきます。

新型コロナウイルス感染対策

現在、新型コロナウイルス感染拡大によって世界中の人々の生活に大きな影響が出ています。

私は感染症の専門家ではないのであまり詳しくは述べませんが・・・新型コロナウイルスの特徴として、感染力が強いけど多くの方が無症状または軽症で済む一方で、重症化すると急速に症状が悪化することがあるようです。

軽症、という言葉で誤解をされることが多いのですが、「大したことがない」という意味ではなく、「入院するまでの症状ではない」という意味です。入院は必要ないけど苦しい、ツラいというものも「軽症」に含まれます。

自分は感染して無症状だったとしても、周囲にウイルスを撒いて感染を拡げてしまい、感染させた相手が重症になり命を落とす、ということも充分にあります。

「感染するのは自己責任だから、飲み会にも行くし外出自粛なんて関係ない。」と考える方もいますが、自分が感染するのは自己責任としても、周囲の人を巻き込む危険があるのは自己責任では済まされません。周囲に致命的な影響を与える可能性もあると自覚したいですね。

「あなたのところは精神科だから感染症は無関係だろう?」と思われることもありますが、やはり私のいる診療所でも影響は出ています。

私を含めた診療所の人間が感染したら、一定期間診療所を閉めないといけません。ですから、皆感染対策に神経を使っています。院内の消毒や換気についても再度スタッフとルール決めをしました。

私は自宅が都内にあり、通勤には電車を使って片道約1時間20分かかります。都内から埼玉に向かうので、最初は満員でも段々空いてくるのですが、それでも通勤電車に乗って長距離を移動することは、感染のリスクを高めてしまいます。

なので、3月中旬以降私は診療所に寝泊まりして自宅には帰っていません。

実行している対策を細かく挙げたらきりがないのでこれだけにしておきますが・・・

毎日60人の診察をしている私が発症したら、患者さんへの影響が大きいので引き続き気を付けたいと思います。

これを機に、「風邪ごときで仕事休んでるんじゃねえ!」という風潮が改まり、「風邪もウイルス感染で人にうつしちゃう危険があるよね。みんな風邪を引いたら休みましょう。」となれば良いのですが・・・現実は((+_+))

オンライン診療を活用したい

今は診療所内の感染対策をしつつ、患者さんには来院して頂き対面で診察をしています。

他の科でもそうでしょうけど、精神科でも対面で話しをすることで得られるものはとても大きく、対面での診療が一番だと考えています。

精神科医は、言葉そのものだけでなく、ちょっとした仕草や表情の変化などから病状を読み取ることが多いです。

患者さんの中にも、直接会うことで安心感を持って話せるという方は多くいらっしゃいます。

とはいっても、今は新型コロナウイルス感染が怖くて外に出られない、人が集まる病院には行きづらいという方もいらっしゃいます。また、私もそうでしたけど、うつ状態がひどい時には病院に行くだけのエネルギーがなくて通うことが出来ない場合もあります。

そこで、オンライン診療(遠隔診療)が大活躍!となるはずですが・・・今のところそこまで広まっている気配はないですよね。私のところでも現時点でまだ導入していないのですが。

これは私の個人的な意見で、多くの医師の意見を代表しているわけではないですが、遠隔診療を導入して運用する労力に見合った診療報酬が設定されていないのかな、と感じます。精神療法をしっかり(何をもってしっかりというのかは難しいですが)やったら通院精神療法のようなものが算定できるといいのかな?と。

話しは脱線しますが、依存症治療の一環として自助グループのような集団療法が有用なのですが、これをやっている場所は限られています。私のところでも導入できていません。大勢の人が集まる場所を持っていて、そのための人員を確保して、一堂に会して、というだけの余裕がないので導入していないだけなのですが、これがオンラインで出来たらいいなと感じています。

今後もウイルス感染症の問題は起こると思います。そうすると密閉された空間に人が集まるのは難しくなり、集団療法がそのために出来なくなることは依存症治療に大きなマイナスになると考えています。オンラインで定期的に開催できると、多くの施設で導入しやすいなと感じます。これも診療報酬がどうなるのか、という問題はありますけど。

さらに脱線しますが(まとまりなくて申し訳ありません・・・)、講演会などのイベントが中止になっていますが、私の講演会も例外ではなく、現時点ではすべてが延期、中止になっています。

私の講演を聞きたい方がいるかはさておき・・・今後はオンラインで配信できるといいなぁ、と願望を述べておきます。

今こそ運動を!

新型コロナウイルス感染拡大の影響で精神的に調子を崩す方も多くなっていますね。

可能性は低いと分かりつつも、ちょっと頭痛がする、痰が絡むなどの体の異変があると「新型コロナに感染したのではないか?」という強い不安が頭から消えず仕事が手につかない。

手にウイルスがついている気がして、何十回も手洗いをして手が荒れて痛いけど、それでも手洗いを延々と続ける。

自分は我慢しているのに楽しそうにSNSに投稿している人を見ると、その危機意識の低さに腹が立って許せなくてきつく注意をしてしまう。

そんな話しがあちこちから聞こえてきます。

以前、新型インフルエンザが国内で流行した時にはここまでの騒ぎにならず自然と収束していきましたし、SARSなどは対岸の火事という方が多かったのですが、新型コロナウイルスは我々の生活に大きな影響を及ぼしています。

ですから、不安になったり、イライラしてストレスを感じるのも当然かと思います。

何をするにも自粛自粛で、ちょっと目立つことをすると(悪いことをしていなくても)袋叩きに遭うので、余計に神経質になりますよね。

以前から「心の運動療法家」を名乗り、心の健康維持や健康回復には運動が良いと伝えていた私ですから、「今こそ運動をしましょう!!!」と主張しています。

かといって、大勢で集まって球技をするとか、集団でランニングをするとウイルス感染拡大を助けてしまいます。ジムでの感染拡大もニュースになってしまいましたね。

私はランニングを継続していますが、人の多い練習場所を避けて、ほとんど人通りのない場所で一人走っています。また、室内で出来る筋トレ動画が今はたくさんあります。筋トレ動画は楽しみながら出来る(でも結構追い込みますが)ものが多くて、飽きませんよ。

100%の完璧な対策はないですし、一人だから安全だなどとエラそうには言えません。安全に相当の配慮をしてスポーツ指導を実施している方もたくさん知っています。

何が正しいか、絶対的な基準はないです。人によっては、その内容によっては、運動することで免疫力が大きく低下して、逆に発症しやすくなりますからね。

運動することのメリットとデメリットを考えつつ、メリットが大きく上回ると感じる方法を選んでいます。

長くなりましたが、日々の臨床をしていて感じることを「医療の現場からレポート」と題して今後も発信していきます。

最後までお読みいただきありがとうございました!